<STORY>
-わたし、いい子じゃないんです-
タエ(16)は、本当の自分を出せず、気持ちを押し殺し生活している。高校でも家でも自分の居場所がない。自分の思い通りにならない事に周囲の人間に当り散らす姉・美咲、タエを「優等生」だと思っている母親。いつもどうでもいい話ばかりしている同級生。タエの気持ちを理解してくれない状況−。だんだん自分の中に閉じこもっていく。
そんなある日、町中でおかしな発明品の実験をしているミツル(19)を見かける。
ミツルは、病気で足を悪くした母親の為に看病をしていたが、なかなか良くならない病気と何もできない自分に苦しみ、そこから「逃げる」ように母を救う為の発明品作りに没頭していた。
自分とどこか同じ“匂い”のするミツルにタエは惹かれ、ミツルにだけは自分の居場所をみつける。そしてミツルもくったくのないタエに惹かれていく。
二人は、いつしかタエの寂しさを紛らわせるための発明品を作ってはそれを実験していた。そんな楽しい「現実逃避」の日々。どんどん世間から離れて二人の世界に落ちはじめる。
しかし、そんな日々は長く続かない。ある日、ミツルの母が突然死んでしまう。心の支えを失ったミツル。またタエも自分を押し殺す原因でもあったわがままな姉・美咲と喧嘩をし家を出る。
この出来事がきっかけとなり、タエとミツルは「二人がもっと分かり合えて、ひとつになれるように。」と必死にある発明品を作り始める。その発明品とは、二人をぐちゃぐちゃの肉にして混ぜ合わせるという大きなミキサーだった。二人は恐怖を抱きながらも、後には引けない状況から恐る恐る、そこに入っていく―。
二人は”ひとつ“になることができるのか。そして”ひとつ”になる意味って?
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